2010年03月19日
昨年一生懸命作業した地価公示が発表された。
注意して頂きたいのは公示価格はあくまでも、「1月1日時点の価格」であり、土地鑑定委員会が、鑑定士からの報告をとりまとめたりする作業に日数を要するため、タイムラグが生じているのである。
(全国の概況)
平成21年1月以降、全国平均で見ると、上昇地点は全国のうち7地点だけでほぼ全ての地点で全用途において下落し、下落率も拡大した。商業地の地価は調査開始以来最低の水準となった。
数値でみると、全国平均で住宅地▲4.2%(昨年▲3.2%)、商業地▲6.1%(▲4.7%)、工業地▲4.2%(昨年▲3.0%)と、いずれも下落幅が拡大した。
(兵庫県)
兵庫県内は全地点で地価が下落した。これは7年ぶりの現象であった。
住宅地は平均▲4.5%(昨年▲2.0%)と、下落幅が拡大した。阪神間・神戸は昨年に比較しての下落幅が特に大きかった。淡路市と神戸市長田区の下落率は▲7.1%で県下最大であった。下落率上位7地点を神戸市長田区北部中心に占めた。
商業地は▲5.5%(▲2.8%) と、下落幅が拡大した。特に、神戸市中央区の下落幅▲10.0%が昨年に続き県下最大であった。下落率が県下最大の地点は2年連続で▲15.7%の「東門街」であった。神戸市長田区の下落率は小さかった。
工業地は▲4.5%(昨年▲2.0%)で、一昨年17年ぶりに上昇したが、下落が続いている。
調整区域内宅地は▲3.5%(昨年▲2.3%)と下落幅が拡大した。
都 市 住宅地(昨年)(%) 商業地(昨年)(%)
神戸市 ▲5.3(▲2.2) ▲7.1(▲3.4)
尼崎市 ▲6.0(▲1.9) ▲5.7(▲1.7)
西宮市 ▲5.9(▲1.5) ▲5.8(▲1.4)
芦屋市 ▲5.7(▲1.2) ▲6.0(▲1.2)
明石市 ▲4.0(▲2.1) ▲5.5(▲2.7)
加古川市 ▲1.8(▲1.7) ▲2.7(▲1.5)
姫路市 ▲1.8(▲0.8) ▲2.4(▲1.0)
マスコミはしきりと住宅市場の好調、特にマンション市場の回復を報道している。私はこれについて、長らく新規の供給が止まっており市場における品薄感が在庫処分に拍車をかけているという状況を、ピンポイントで見ているためと考える。
また月例経済報告は外需、企業業績の回復による景気回復を発表している。他方で、景気の先行不透明感があり、企業の設備投資意欲の減退が続き、生活実感に直結する雇用・所得環境の不安定感、デフレ傾向も継続するものと思われる。
これからの地価はどうなるのか。
思うところはあるが、あえてコメントは避けることとする。
平成22年公示地価発表
2015年5月11日