不動産鑑定, 特殊不動産

既存不適格建築物の鑑定 容積オーバー

2010.3.12

既存不適格建築物とは、建物が建築された当時は適法であったが、その後、建築基準法等が変更され、違法状態となった建築物をいう。
神戸では昭和50年頃に建築基準法上の容積率等に変更があり、従前は400%を上限としたものが、現在200%上限になったりしている地域でこの種の建物を見受ける。

先日、神戸市北区にある共同住宅評価の依頼を受けた。
調査をしてみると、容積率200%の地域であるが、対象物件の実行容積率は315%。
当初、違法建築物かなと思ったが、建築当時である昭和45年頃の容積率が400%であったので、既存不適格建築物であった。

さて、問題はどう評価するか?

共同住宅であるので、収益価格を当然重視する。
奥の手である収益還元方式「インウッド法」を登場させた。
対象物件からの収益である家賃を還元利回で還元して収益価格を求める方法である。
今回のように「築年数が古い建物で、ボリュ-ムが違法状態にある場合、現況で運用できるだけ運用して、建物を取り壊した後更地で売却することを、購入者は想定して買受けるであろう。」
インウッド法は上記のように予測するのが合理的な場合に、収益価格を算定する方法で、既存不適格建築物には有効である場合が多い。

鑑定士はこんなことを考えて値付けをしているという1例であった。

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