不動産市場, 不動産鑑定

平成22年基準地価

2010年09月22日

〈地価調査結果〉

(全国の概況)

平成21年7月以降、全国平均で見ると、全地点比較では 19年連続の下落であるが、
住宅地商業地とも昨年に比較し下落幅が縮小した。
特に3大都市圏ではマンション用地需要の活発化を背景に下落幅縮小又は横這い地点が増加し、
上昇地点についても昨年の3地点から27地点に増加した。
一方地方圏では前回とほぼ同じ下落幅に留まった。
数値でみると、全国平均で住宅地△3.4%(昨年△4.0%)、商業地△4.6%(△5.9%)、
工業地△3.9%(昨年△4.2%)と、いずれも下落幅が縮小した。

(兵庫県の概況)

兵庫県内は全地点で下落した。
住宅地は2年連続の下落であるが、△3.3%(昨年△3.8%)と下落幅は縮小した。
阪神間・神戸は昨年に比較して下落幅の縮小が目立った。
他方、人口減少や地域経済の低迷が続く但馬・淡路地域の下落幅は、
各△4.7%(△3.4%)、△6.1%(△5.7%)と拡大した。
商業地は3年連続の下落であるが、△4.5%(△5.3%)と下落幅は縮小した。
特に、三宮を中心とする神戸市の下落幅の縮小が顕著で△4.1%(△8.1%)と半減した。
神戸市須磨区、垂水区、北区、西区については、住宅地、商業地とも、
下落幅が拡大している地点も複数みられた。
工業地は2年連続の下落であるが、△3.8%(昨年△4.0%)と下落幅は縮小している。
調整区域内宅地は△3.2%(昨年△2.7%)と下落幅拡大が続いている。
兵庫県内主要都市の地価変動率は次の通りである。

都 市 住宅地(昨年)(%) 商業地(昨年)(%)
神戸市 ▲3.3(▲5.1) ▲4.1(▲8.1)
尼崎市 ▲4.6(▲4.9) ▲5.0(▲5.0)
西宮市 ▲4.3(▲5.3) ▲5.1(▲5.5)
明石市 ▲3.0(▲3.7) ▲4.6(▲4.1)
加古川市 ▲1.4(▲1.5) ▲3.0(▲3.5)
姫路市 ▲2.3(▲2.0) ▲2.8(▲3.0)


今後の地価予測

今回の地価調査では「引き続き下落傾向にはあるも、下落幅縮小」というのが全体的な基調のようです。
前回地価公示発表時に私は「今後半年で地価が更に下落し、下落率は前回並み」と予測致しました。
地価が全体として下落したのは予測通りでした。下落率は予測が外れ、緩やかな回復感がみられるようです。
しかしこれも日本経済にとっては良いことです。
さて早速ですが、ここで地価の専門家としては更に半年後の地価動向を予測しなければならないでしょう。
欧米を中心とした海外景気の下振れ懸念、対米為替レート・株価変動等のリスク、継続するデフレ傾向等の不安材料がありますが、日本経済全体としては概ね今後半年間は緩やかな回復傾向が持続するものと予測されます。JREITは本年に入って回復傾向、不動産業経営状況調査結果は昨年よりだいぶ回復、投資家マインドは大変前向き、これらの状況を総合的に鑑みますと、半年後の地価は、横這い若しくは下落基調が残るものの更に下落幅は縮小するものと予測されます。

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