2014年04月12日 不動産について「所有から利用へ」と言われ出して、10年近くなるかもしれませんが、土地の利用といえば、青空駐車場といったいわゆる貸地、建物の所有を目的とした借地権があります。借地にも、契約更新を前提とした普通借地と契約期間満了により終了する定期借地があります。
弊社ではここのところ事業用定期借地権のご相談が続いています。今もデベロッパーさんから「開発が中断している土地を貸して欲しいという人が出てきましたので、適正な地代と保証金の鑑定をお願いします」というご相談を受けています。あるドラッグストアさんからは兵庫県内の新規出店に際して、度々適正地代のご相談があります。先日はある大手法人さんから、駅近くの大規模路線商業施設の地代について「テナントから値下げの申出が出ていますが、いったい幾ら位が適正な地代となるか評価をお願いします。」とのご相談がありました。
ところで、定期借地権の場合には、一定期間での契約終了が前提となっていますので、権利金・礼金等とりきりとなる一時金の授受は想定されていませんので、地代と預り金的性格の一時金である保証金が問題となります。 ご相談を受けている上記前2つの事例は、新たに借地権を設定する場合賃料ですから「新規地代」を求めます。後の事例は既に継続中の賃貸借の賃料「継続地代」を求めるものです。
新規地代の求め方としましては、①周辺の賃料から比較して求める方法が1番メジャーですが、それ以外に②更地価格に期待利回りを乗じて求める方法もあります。それらを関連づけて新規適正賃料を求めます。 継続地代の求め方としましては4つの物差しで4種類の賃料を求めます。そして最後にそれらを関連づけて合理的な継続賃料を求めます。
4種類の賃料とは次のような賃料です。 ①元本と果実との関係に着目して、賃貸している土地の価格を求め、これに適切な利回りを乗じて賃料を求めます。利回りは前回の合意賃料の土地価格に対する合意利回りを用いたりします。 ②現在の賃貸条件と同条件で新たに賃貸契約を結ぶことを想定した場合の新規適正賃料と現行賃料との差額について、地主に帰属する部分を判定の上、現行賃料に対して当該地主帰属部分を増減させて賃料を求めます。貸主・借主双方の公平に配慮して、差額の半分を家主に帰属させるのが一般的です。 ③現行賃料を定めた時点から現在までの経済変動率を現行賃料に乗じて賃料を求めます。経済変動率は名目GDP、 消費者物価指数、企業向けサービス価格指数(名目店舗・駐車場)等、地代に関連性を有すると思われる指数によって求めます。 ④対象物件と類似する継続中の不動産賃貸に係る賃貸事例と比較を行って対象不動産の賃料を求めます。これは分かり易いやり方ですが、継続中の賃貸借の条件は当事者の個別的事情に左右され、対象不動産に類似する賃貸事例がなかなか無いものです。
ここでは、新規地代の②の方法の期待利回りについて述べたいと思います。不動産の世界では利回りがよく使われますが、対象物件にふさわしい利回りがなかなかわからないものです。事業用定期借地権の利回りも資料が少なく把握しにくいですが、かつて私が資料をいろいろと調べる中で、公租公課と保証金の運用益を含む新規実質地代の期待利回りは更地価格の約3.5~4.5%程度の様な印象を受けました。直近の大阪不動産鑑定士協会「事業用定期借地権の実態調査」によると、新規事業用定期借地権の更地価格に対する年額支払地代の期待利回りは2~7%であり、最頻値は約5%との結果であったようです。 また、同時に、保証金の水準としては地代の10ケ月分、更地価格の3~4%程度との印象でした。 地代鑑定は評価する主体によって鑑定額に大きく幅が出やすいので、信頼できる不動産鑑定士と綿密な打ち合わせをして評価を進めることが特に大事だと思います。
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