あいき不動産鑑定・コンサルティング事業部, 不動産鑑定, 不動産鑑定士タケさんの鑑定事件簿, 共有物分割, 裁判、調停

共有持分の鑑定

先日、弁護士さんから共有物分割調停の資料にするということで鑑定依頼がありました。共有物分割訴訟において、裁判所から鑑定依頼を受けることもあります。また、共有持分を親属である共有者間で売買する場合に適正価格の鑑定をして下さい、という依頼もあります。

いずれの場合も「売買対象となる持分について適正価格を評価して下さい」という内容ですが、実は共有持分の評価は一筋縄ではいかない難しい案件です。

評価目的によって前提とする市場が変わり、それによって鑑定額が相当変わります。さらに一般取引市場を前提とする場合、取引の実証資料が見つかりません。

 

1.持分について市場での売却を前提とする場合

当該共有持分を一般市場で第三者が購入するのか?購入金額の適正額はいくらか? 参考となる取引事例の入手も困難です。この場合一般には、競売での評価実例が参考とされ、対象不動産の適正価格×持分という金額に対して20%~30%の減価が行われます。

 

2.持分について共有者間での売買を前提する場合

この場合の持分価格は、一般的には「対象不動産の適正価格×持分」で求めることができます。売買当事者間でもめるケースの場合、売手は高く売りたいので上記金額を提示、買手が「持分なんて市場でまともに売れないよ」と1の金額を主張してきます。こうなるともう水掛け論の世界です。裁判所が困って鑑定人に鑑定依頼をしますが、鑑定人も決定的な解決尺度を持たないのが現状であると思います。

 

ところで、1を前提とする評価については、競売減価を参考に持分減価を行うだけでは説得力が弱いので、私はできるだけ収益価格を出す等の工夫をしています。 例えば、「今、親属間ABで土地を共有しており、土地上には共有者のうちの一人であるAが住宅を所有。他の土地共有者Bは使用貸借のため地代を貰っていない」というケースを想定します。

この場合に一般市場で当該持分を売却するとします。ここではBの持分を第三者Cが購入するとします。そうすると、Cの経済合理的行動としてはまず当該持分上に借地権を設定して、Aから適正地代を収授します。この場合、A所有住宅の残存耐用年数が15年位だと、15年間地代を収授して後、AとCがお互いに協力して対象地を更地として売却、持分に応じて売却代金を按分する、というストーリーが考えられます。以上のように経済合理性の観点から需要者の行動を個々の案件ごとに予測し、収益還元法にて収益価格を出すと、かなり具体性を有する価格が出てきます。

あいきの不動産鑑定

 

 

あいきの不動産鑑定 ご利用者の声


弁護士法人 代表弁護士 匿名希望様

神戸にある飲食店ビルの賃料鑑定をしていただきました。
スピーディーで気持ち良くしていただき感謝しております。仕事に関する姿勢(そこが一番いいかも)に情熱を感じます。
これからもよろしくお願い申し上げます。
~ 当社より ~
ありがとうございます。
裁判期日の中での鑑定ですので、弁護士さんとご依頼者が鑑定に基づき戦略を練る時間をできるだけとれるよう、今後も鉄壁かつスピーディーな評価を心掛けます。
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