(全国の概況)
令和4年1月以降の1年間の地価変動率は、全用途(全国平
均)で2年連続で上昇し上昇率が拡大した。リーマンショック前に
次ぐ水準となった。令和2年前半からコロナ禍の先行不安から不
動産市場が減速したが、その年の後半以降上昇基調も見え始
め、令和3年は引き続き回復傾向が持続した。令和4年、ウィズコ
ロナ下での景気の持ち直し感と共に、コロナ禍前への回復傾向
が顕著となった。用途別では、住宅地が1.4%(0.5%)で2年連続の
上昇。政府の低金利政策、住宅取得支援策等の下支え効果に
加え、中古住宅、都市近郊住宅等へのニーズ多様化による需
要拡大が堅調に続く。商業地も1.8%(0.4%)で2年連続の上
昇。飲食需要の回復が充分でないが、国内観光地や人流が
回復しつつある繁華街で店舗需要の回復が見られ、堅調な
オフィス需要やマンション用地需要が下支えし回復傾向が
進んでいる。工業地は3.1%(2.0%)と7年連続の上昇で上昇
幅も拡大している。Eコマース市場の拡大に伴う物流施設
用地需要増が続く。三大都市圏は全用途において2年連続
の上昇で上昇幅も拡大している。地方圏は札幌・仙台・広
島・福岡の地方中核4市が全用途で10年連続の上昇、上昇
幅も拡大している。その他地方圏についても平均変動率が
28年ぶりに上昇に転じた。商業地の全国最高価格地点は東
京銀座4丁目・山野楽器銀座本店の5380万円/㎡(昨年5300
万円/㎡)、富裕層の消費が好調で収益性が回復基調に転じ
た。低迷していた大阪ミナミ商業地区は国内観光客の回復
傾向で、底打ち感が見え始めた。全国上昇率トップ10は住宅
地・商業地とも、北海道北広島市と江別氏がほぼ独占した。札
幌市内の地価上昇、宅地供給不足等が江別市等割安感のある
周辺市に波及しており、北広島市では加えて北広島駅西口再
開発事業等が進捗しマンション用地需要等が喚起されている。
(兵庫県の概況)
兵庫県内では、住宅地が平均0.7%(昨年△0.1%)と15年ぶりに
上昇に転じた。商業地は1.3%(0.0%)と3年ぶりに上昇に転じた。
工業地は4.2%(2.5%)と上昇が続いている。尼崎市西向島
町17.4%等、尼崎市の工業地については、需給逼迫か
ら高い伸びを示している。住宅地について、最高価格地
点は、JR芦屋駅北の「芦屋市船戸町」、66.5万円/㎡で5年連続
のトップ。灘区の好調も続いている。一方、地方圏の西・北播磨、
但馬、丹波、淡路地域は、28年以上に亘って下落が続いており、
2極化の様相が続いている。商業地については、芦屋市の業平
町(芦屋兵燃ビル)7.0%が県内上昇率トップとなった。最高価格
地点は「神戸市中央区三宮町1丁目」625万円/㎡
(2.1%)。三宮地区は、三宮駅前再開発事業が進捗する中、
人流が回復傾向にあり、飲食需要も徐々に戻っている。
住宅地 (去年) (%) 商業地 (去年) (%)
神戸市 1.2(0.2) 2.0(△0.3)
尼崎市 1.0(0.2) 2.0(1.0)
西宮市 1.7(0.7) 3.5(1.4)
芦屋市 2.5(1.6) 5.0(3.5)
明石市 3.0(1.1) 2.9(0.5)
加古川市 0.1(0.0) 1.3(0.4)
姫路市 △0.4(△0.6) 0.4(0.0)