不動産市場, 不動産鑑定

平成23年基準地価概況

2011年09月21日

テレビ・ラジオ・新聞等で平成23年度の基準地価について報道されています。
兵庫県の地価動向、今後の地価予測等の最新情報をまとめました。
ご参考にして頂ければ幸甚です。

(全国の概況)
平成22年7月以降、一年間の地価について、住宅地商業地とも依然として全国的に下落が続いているが、下落幅は縮小し、上昇横這い地点も増加した。数値でみると、全国平均で住宅地△3.2%(昨年△3.4%)と20年連続下落、商業地△4.0%(△4.6%)で4年連続の下落となっている。今回の調査では東北被災3県と液状化被害の甚大であった千葉県の一部地域等93地点は「判定不能」として調査対象から外している。調査可能であった地点のうち津波が直撃した宮城県東松島市では、地価が△18.2%下落した地点がある等全国で最大の下げ幅を記録した。一部では津波被害を受けにくい高台地域等で需要が戻り始める動きもある。東日本大震災があった平成23年1~6月について見れば、全国で下落率幅がやや拡大している。しかし震災の影響の少なかった大阪圏については平成23年1~6月についても下落幅が縮小している。

(兵庫県の概況)
兵庫県内では住宅地が平均△2.0%(昨年△3.3%)と3年連続の下落、商業地は△3.4%(△4.5%)と4年連続の下落で、下落幅はいずれも縮小した。商業地については未だ上昇地点は生じていない。今回の調査で特筆すべきは、住宅地について神戸・阪神間を中心に38地点で上昇し、全国の上昇地点の半数以上を占める結果となったことである。特に芦屋市については全国の住宅地上昇率上位5地点中3地点を含め、市内の上昇率は+0.9%(△3.7%)と全国トップとなった。神戸市内では垂水区の下落幅縮小が目立った。一方但馬地域では下落幅が拡大し、淡路地域の下落幅は依然大きかった。
兵庫県内主要都市の地価変動率は次の通りである。

住宅地(昨年)(%)  商業地(昨年)(%)
神 戸 市 △1.0(△3.3) △2.5(△4.1)
尼 崎 市 △1.4(△4.6) △3.1(△5.0)
西 宮 市 △0.2(△4.3) △2.0(△5.5)
芦 屋 市 △0.6 (△5.7)  △2.2 (△6.0)
明 石 市 △1.1(△3.0) △1.8(△4.6)
加古川市 △1.3(△1.4) △2.1(△3.0)
姫路市  △2.1(△2.3) △2.5(△2.8)


今後の地価予測

今回の基準地地価でも前回の地価公示に続き「全体として下落率縮小、上昇・横這い地点の増加」というのが全体的な基調のようです。前回の地価公示発表時である半年前、不動産市況はようやくリーマンショックから立ち直り緩やかな回復の波に乗るものと思われました。その時あの東日本大震災が日本全土を揺さぶりました。今、国内のサプライチェーンは回復に向かい、復興需要が期待され企業の業況判断も好調です。他方、原発問題、長引くデフレ、円高問題、新内閣の実力如何という問題もあります。海外に目を向けると欧米発による世界的景気後退のおそれが拡がっています。欧米の不況の根は大変深く暫く回復は難しいという厳しい見方も多いようです。我が国の経済は内需回復でいかに踏ん張るか、本年暮れ頃に正念場を迎えるのではないでしょうか。半年先の地価は下落と横這い圧力がもみ合う微妙な状況になるものと予測します。また地域による地価の多極化状況が現れるようになるかもしれません。

Share Button