先日、税理士さんより相続案件として、ゴルフ場用地の一部の土地についてご相談をいただきました。
さて、まずは財産基本通達を確認しました。
(ゴルフ場の用に供されている土地の評価)
83 ゴルフ場の用に供されている土地(以下「ゴルフ場用地」という。)の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。(平3課評2-4外・平11課評2-2外・平16課評2-7外改正)
(1) 市街化区域及びそれに近接する地域にあるゴルフ場用地の価額は、そのゴルフ場用地が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額にそのゴルフ場用地の地積を乗じて計算した金額の100分の60に相当する金額から、そのゴルフ場用地を宅地に造成する場合において通常必要と認められる1平方メートル当たりの造成費に相当する金額として国税局長の定める金額にそのゴルフ場用地の地積を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価する。
(注) そのゴルフ場用地が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額は、そのゴルフ場用地が路線価地域にある場合には、そのゴルフ場用地の周囲に付されている路線価をそのゴルフ場用地に接する距離によって加重平均した金額によることができるものとし、倍率地域にある場合には、そのゴルフ場用地の1平方メートル当たりの固定資産税評価額(固定資産税評価額を土地課税台帳又は土地補充課税台帳に登録された地積で除して求めた額)にゴルフ場用地ごとに不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率を乗じて計算した金額によることができるものとする。
(2) (1)以外の地域にあるゴルフ場用地の価額は、そのゴルフ場用地の固定資産税評価額に、一定の地域ごとに不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する。
さて上記基本通達をみると、
(1)は市街化区域及びその近接区域に存するゴルフ場用地に関する記載であり、数式で表すと、下記の通りです。
(2)に関しては、市街化区域(及び近接区域)以外のゴルフ場用地に関する記載であり、数式で表すと下記の通りです。
そして今回ご依頼の案件概要(相続税評価)はといいますと・・・。
・所在:兵庫県●●市のゴルフ場内の土地
・法的規制:非線引都市計画区域内
・課税地目:ゴルフ場
・固定資産税評価額:約950円/㎡
・面積 約2500㎡
・ゴルフ場事業者へ年額約16万円で賃貸中、期間満了まで約20年
今回の土地の所有者は、ゴルフ場事業者に土地を賃貸しています。
そして、借り受けた事業者が、元々山林である土地を造成してゴルフ場用地として利用しています。賃貸契約書には、賃貸契約終了時には原状復帰して山林にして却す条項がありました。
したがって、本件土地の固定資産税評価額約950円/㎡は、
造成費相当額分高くなっていると思われます。
実際、造成されていない山林(※同じゴルフ場内に存する別の土地で、山林として課税されているもの)の課税単価は12円/㎡となっています。
今回、相続税評価を行うにあたっては、
造成工事が実施前、つまり山林(自用地)としての価格を求め、これに山林の評価倍率を乗じて、さらに賃貸中であることによる減価を考慮して、相続税評価額を計算することになります。
・山林としての価格:同じゴルフ場内の土地(課税地目:山林)単価12円/㎡を採用
・山林の評価倍率:財産評価基準書の評価倍率表に記載がある(12倍でした)
・賃貸中(地上権に準ずる賃借権以外の賃借権)であることによる減価:法定地上権割合の1/2と
雑種地上の地上権に準ずる権利以外の賃借権について残存期間に応ずる割合×1/2を比較し大きい方の割合(5%でした)
算式ですと下記の通りになります。
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ゴルフ場の相続評価
2015年7月28日