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建物の不動産鑑定





建物価格について(固定資産評価額・簿価・鑑定額)

建物の価格として取引、財務、税務上用いられる価格としては、
①固定資産評価額 ②簿価 ③鑑定額があります。各価格の特徴について説明します。

①固定資産評価額

市町村が固定資産税徴収のために評価しています。「部分評点積算法」という方法で評価を行います。
原則、建物新築時に市職員が建物の内覧に来て、1軒1軒の建物について評価しています。一般には時価レベルの評価額といわれています。ただ、実際に要した建築費と比較しますと、70%、50%といった水準で評価されているようにみられます。
建築後、初期の頃は当該価格が低め水準となるようです。反対に建物終末期になりますと、残価率20%が効いてきて、高め水準となるようです。当該価格は相続税評価上の時価として取り扱われます。

「固定資産税評価方法:建物編」
*「固定資産税評価方法」シリーズのレジュメはこちらから


②簿価

取得価格に対して、累計の減価償却を行って、期末の簿価を求めます。適正に減価償却が行われている場合、税務・会計上有用な価格となります。

③鑑定額

不動産鑑定士による評価額を鑑定額といいます。原価法による積算価格と収益還元法による収益価格から鑑定額(合理的計算価格)を求めます。最も時価に相応しい価格といえます。但し、不動産鑑定士の評価(意見)ですので、評価主体によって鑑定額が異なります。
また、不動産鑑定士一般は建物についての評価は土地ほど得意ではありませんので、建物鑑定に実績を有する鑑定士を選ぶ必要があります。


建物簿価について

上場・大企業の場合、減損評価等、時価会計が行われており、建物簿価を時価に近づける動きが行われています。それでも、資本的支出や修繕に伴う旧資産の「除却」が適正に行われていない場合も多いと思われますので、そのような場合には実際に存在しない部分の資産が含まれ、建物価格は過大に計上されていることになります。
中小企業の場合、時価会計の縛りがなく、税務上のメリットも生じないことから、建物簿価について評価を使って時価レベルに修正することは殆どで行われていません。従って大修繕等が何回となく行われている建物についての簿価は、時価に比較し過大となっている可能性が高く注意が必要です。減価償却台帳等の確認が必要です。


建物鑑定について

建物の鑑定を行う場合、税務上・会計上様々なシミュレーションを繰り返した上、目標となる評価額を依頼者から提示される場合が多いです。その目標額達成のため私達は全力で支援しています。
建物の時価を鑑定するに際しては、公的な唯一の評価指標である①固定資産評価額、過去からの収支実額を表す②簿価、に精通した上で、設計図書を読取る力、建築法規の精通、建物の物理的・経済的等要因を判断して最適解を見出す必要があります。
従って、土地の鑑定に比較し、知識、経験、熟練した技術が必要です。



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