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民間鑑定専門への道


開業からの道のり

開業時代

平成14年に私は、7年間の修行を終え生まれ育った神戸三宮で開業しました。
開業した平成14年は不動産不況真っ直中でした。とにかく1日も早く家族のために独立して生計を立てることが当初からの目標でした。時の経済状況がどうのということは問題ではありませんでした。その頃、飛び込みでのあいさつ回り、勉強会、異業種交流会等人の集まるところはどこにでも顔を出すようにしました。仕事を依頼して頂けることが嬉しく、どんなに厳しい依頼内容、安い報酬でも片端から真心こめてこなしていきました。
経験が磨かれながら売上げも毎年上がり、3年目位から事務所運営が軌道に乗るようになりました。
しかし殆どの不動産鑑定業者が業務の中心に据える「公共機関からの不動産鑑定」(これを業界では「公共鑑定」と呼びます)は新参者の私に回ってくることはなく、あくまでも民間取引の不動産鑑定をコツコツと行うしか道がありませんでした。民間取引の不動産鑑定は業務量が少なく不安定ということで、業界では公共鑑定に比較し重視されていませんでした。
それは不動産鑑定が歴史的に公共事業と共に発展してきた経緯があり、一般国民の間でも、民間取引に於ける不動産の適正価格は売買の当事者が自由競争下で決める価格であって、評価など不動産鑑定士の主観に過ぎないと思われていたからです。
そのような民間取引の不動産鑑定分野に単身船出した私には、「鑑定額とは何か」、「なぜ鑑定が必要なのか」、という基本から分かり易く説得的に説明し、理解して貰うという仕事がまず待っていました。そこを理解して頂いて初めて鑑定依頼に結びつく機会がやってくるのでした。
今でこそ不動産鑑定に対する社会の認知が大分進みましたが、当時は不動産鑑定とはどんなものかよく知る人は殆どいない状態でした。法律、税務、会計、金融、取引実務等、様々な分野にアンテナを張り、「不動産鑑定を行うことによりメリットが生まれる局面」を探し続けました。それとともに、「いったいどのような人が鑑定を必要としているのか」を手探りで探していく日々が続きました。
民間分野の不動産鑑定は公共分野の鑑定と異なり、組織的に鑑定を守ってくれるようなことがありませんので、裸の自分で社会と対峙し納得してもらえる力をつけていく必要がありました。実際に鑑定を行う際には、常に最新の市場情報を取り込むように心掛け、資料の信頼性、価格判断の客観性・公正性を磨き真の適正価格と認めていただけるように新しい試みにも挑戦していきました。
また民間の分野には、地主、不動産業者、建設会社、デベロッパー等不動産の各分野の専門家が、様々な能力と思いをもって鑑定を必要としていましたので、広い分野の知識と人間の勉強も必要でした。



大きな挫折から民間専門鑑定士として復活

このように悪戦苦闘の年月を過ごしつつも、徐々に手応えを感じていた私に、やがて挫折が参ります。
ある時、何年かぶりに裁判所から「競売評価人」の募集がありました。競売評価人は裁判所が行う競売の最低売却価格の評価をします。「競売評価人」になると安定した業務量が裁判所から保証されます。安定した業務量の確保は当時弊社の直面する課題でした。
私は20代の一時期司法試験の勉強に打ち込み、法律事務所で民事執行事務の経験もありましたので、不動産鑑定士を志した当初から、競売評価人に対して将来の自分の生き場所を見ていたのでしょう。満を持して試験に臨むような形となりました。
ところが、最終面接で見事裁判所から肘鉄を食らわされたのです。このことは自分で思っていた以上にショックなことであり、不動産鑑定士としての人生計画が根底から崩れた思いでした。その後あろう事か長い期間、私は無気力状態に陥り、会社の売り上げはどん底まで落ち込みました。もう鑑定士を辞めようかと自暴自棄になったこともありました。その間も、私に鑑定を依頼してくれる方がたくさんおられ感謝すべきであったのに。今思い返せば本当に恥ずかしいことです。
立ち直るのに2年近くもかかりました。ようやく立ち直りかけた時、私の生きる道はたった一つしか残されていませんでした。それは「業界の常識を破って、民間鑑定のみで事業を成立させること」です。私はもう覚悟を決めるしかありませんでした。民間鑑定の分野に自分の職業人生を賭けることにしました。
今は民間分野専門の不動産鑑定士としてここまで歩んできた道程を、心から良かったと思い振り返っております。
従来のやり方を踏襲していく保守的な公共鑑定より、独創性や発想力等で勝負できる民間鑑定分野の方が、結果的に自分の性格に合っていたようです。
そして何よりも、市井の数多くの人たちとの出会いが膨らむ中で、相続、離婚、事業承継、裁判等みなさまが抱える問題に対して、不動産鑑定士の立場から、共に悩みながら知恵を絞りだして解決に寄与していく道程は、ハラハラドキドキがあって、私の人生にとって最大の財産です!
今私は、公共鑑定、競売等にこだわる必要もなくなり、民間専門の不動産鑑定士として立っております。ここまでたどり着いた不動産鑑定士は県下では私一人です。
応援して下さるたくさんの方々、会社のスタッフ、また私のパートナーとして公私ともに支えてくれる妻、かけがえのない3人の子供達に対して、心から感謝の意を捧げたいと思います。
ところで、以上のように、悪戦苦闘のうちに一身を過ごしているうちに、私は、ある重要なことに気づいていきます。



民間分野における不動産鑑定の必要性

日本では土地政策と土地価格が車の両輪として進んできました。
不動産鑑定の技術とその制度は土地価格の適正化にとって不可欠のものとして、公共事業と共に成長して参りました。
今後は民間事業において不動産鑑定が役立っていく必要があります。
ところが、業界は依然として公的鑑定重視の視点からの脱却が遅々として進まず、民間サイドからも不動産鑑定が必要不可欠とされているとはいえません。
例え微力ではあっても、私のような人間が、民間のために役立つ不動産鑑定を目指して、邁進して行かなければならないのです。



民間分野における不動産鑑定の役割

私は民間分野に於ける不動産鑑定の今後の課題は、「法令によって必ず鑑定を行うべし」と規定されている以外の局面で、「不動産価値戦略」として積極的に不動産鑑定を利用して貰えるようになることと考えています。不動産鑑定士の先頭に立って、私はこの点について社会に訴えていきたいと思っています。
例えば、法人が所有不動産を売買する際に、売買価格が適正であることを鑑定で根拠付けておくと、税務署等の役所、ステークホルダー対策として万全です。
また、相続税法によって、不動産に関する相続税申告に際して、税理士の路線価評価が「みなし時価」として認められております。これは「路線価が時価より20%程度低く設定されていますので、客観的時価より路線価評価が高くなることはない」という考えに支えられています。
現在、税務申告実務上は路線価評価が当然のようになっていますが、昨今は社会の不動産評価に対する知識も高まっており、路線価評価による「みなし時価」が「客観的時価」より相当高くなる場合が少なからず発生することが知られてきております。このような事態を未然に防止するのは不動産評価の専門家である不動産鑑定士の仕事です。相続税申告に際して税理士と不動産鑑定士との協力が図られるべきです。
さらに、一般には「不動産の価格なら不動産業者に無料で査定して貰えば良いではないか」と思われていますが、不動産業者は「取引の専門家」であり、不動産価格査定に対する法的責任はありません。
また、地価公示作業で不動産取引価格についてのアンケートを見ていますと、取引当事者の方々が適正な取引価格について様々な思い違いをしていることについて驚かされます。
このような状況を見ていて、全ての中古住宅等の取引に際して、不動産鑑定士による価格評価を「適正価格の指標」として組み込んではどうかと、日本不動産鑑定士協会連合会に対して意見提案したところ採用され、国土交通省の後押しで現在業務化が進められています。民間分野において不動産鑑定の有用な利用が今後更に促進されていくことと思います。
以上の様に、民間分野における不動産鑑定の利用は発展途上にあります。縁あって業務上私と関わる方々には不動産鑑定の使い道をしっかりとお伝えするようにしています。
生活や経済活動の基盤ともいえる不動産について、その「適正価格」を明らかにしていく「不動産鑑定」の技術は、国民の権利意識の高まりとともに、経済のグローバル化、社会システムの高度化・複雑化が進行する我が国に於いては、今後益々必要度を増していくことが間違いありません。
特に法人、富裕者層においては「不動産価値戦略」として、優れた不動産鑑定士とのパートナーシップから、多くのメリットが生まれていくことが予測されます。一般の方につきましても不動産の適正価格について不動産鑑定を利用できるような仕組みづくりが必要です。
以上の様な展望のもと、私は、不動産価値を見透し生かすことを通じて、「ご相談者とそのご家族の幸せ作り」、そして、「社会の活力作り」を応援していきたいと考えております。今後ともお引き立てのほどよろしくお願い致します。




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